予備試験は3段階試験

司法試験予備試験は1日のみの1回で済む試験ではありません。1次から3次まで計3回に分けて実施される試験です。ノックアウト方式と言いますか、各試験に合格した者だけが次の試験に臨めるという試験(「司法試験予備試験の日程」参照)。

そして、各試験、試験科目は大部分で重なっているのですが、出題形式が大きく異なります。このへんは旧司法試験とかなりの部分で同じなので、受験生だった管理人の経験も踏まえて、司法試験予備試験1次から3次までの各試験の概要と、試験科目とその配点をご説明しましょう。

予備試験で出題される科目

合否判定表

まずは、予備試験全体で出題される科目について触れましょう。

予備試験の1次試験から3次試験まで、どの試験でどの科目が出題されるかまとめておきました。参考情報として予備試験合格後の司法試験の科目についても載せておきます。

予備試験及び司法試験の科目についての詳細は「司法試験と予備試験の試験科目」を参照ください。

科目 ひとこと 短答 論文 口述 司法試験
憲法 国家の基本法であり最高法規。日本国憲法からの出題が中心。
民法 私法の一般法。法律資格試験の中心的存在。
民事訴訟法 実定法(この場合は民法)を実現するための手続法。「みんそ」と発音する場合が多い。
刑法 刑と罰を定めた法律。罪刑法定主義(憲法31条)の具体化。
刑事訴訟法 刑事における手続法の「けいそ」。憲法の刑事規定の具体化。
行政法 行政機関や行政活動について定めた法律の集合体。憲法の統治機構の具体化。
商法 民法(一般法)における特別法で、商行為に関する法律。派生法である会社法からの出題が大部分を占める。
法律実務基礎科目 民事と刑事に分かれている。実定法と手続法の中間部分が出題されるというイメージ。
一般教養 人文科学・社会科学・自然科学から出題され、行政書士試験の一般知識のように試験対策がしづらい科目。
選択科目 倒産法 / 租税法 / 経済法 / 知的財産法 / 労働法 / 環境法 / 国際関係法(公法系)/ 国際関係法(私法系)から選択。

上の表をに基づいて、予備試験の短答・論文・口述の各試験の概要についてお話しましょう。

 

予備試験1次 短答式の配点・合格点

まずは短答式試験から始まります。「択一(たくいつ)」とか言ったりする人もいますね。旧司法試験の頃はこちらの方が一般的でした。実施は例年ゴールデンウイーク後の5月中旬(令和5年度より7月中旬)。

短答式試験の概要

短答式とはマークシート方式です。問題文に沿って正解の肢を選択したり正誤判定したり。

予備試験の場合、単に法律知識だけを問われるだけではなく、事務処理能力も問われます。ですから、学説組み合わせ問題だったり、論理問題だったり、パズルのような、頭の体操のような問題も出題されるのが特徴だったりします。

択一試験の配点

出題科目は8科目。憲法 / 民法 / 刑法 / 商法 / 民事訴訟法 / 刑事訴訟法 / 行政法の法令7科目と一般教養。配点は法令科目が各30点、一般教養が60点で、計270点で満点です。

択一試験の合格点

合格するには基準点をクリアしなければなりません。およそ6割程度です。160点前後で短答式は突破できるようです。

ちなみに、旧司法試験の短答式は憲法 / 民法 / 刑法の3科目で20問づつの計60問。たしか6~7割程度で合格だったと思います。

この短答式は大体、受験生の2割程度が合格してくようです。平成29年度の短答式の合格率は21.6%でした。ここで8割程度落とされるのですね。下、直近5年間の短答試験の合格点推移になります。

年度 満点 合格点
平成30年度 270点 160点以上
令和元年度 270点 162点以上
令和2年度 270点 156点以上
令和3年度 270点 162点以上
令和4年度 270点 159点以上

択一試験突破のポイント

実際に受験してみないとイメージ沸かないかもしれませんが、時間的にかなりタイトな試験です。知識の正確性は備えながらもスピード勝負。次々に迅速に処理していく必要がありますので、事務処理能力の高さが必要です。

勉強段階で本番のスピード感を意識していかなければ、焦りばかりが先行して目も当てられないことになると思います。効率的な訓練を推奨します。

旧司法試験と比べての印象

予備試験の過去問を眺めてみた印象ですが、旧司法試験と比べて、問題の1問1問は難易度は落ちる印象があります。旧司法試験の短答式問題の方が難しかった気がしますね。

ただ、憲法・民法・刑法の3科目しかありませんでしたので、予備試験の8科目に比べればこの点は大変ですよね。その分範囲も広いですし。

もっとも、この短答試験はしっかり適切な勉強をすれば突破できると思います。相当難しいのですが、勉強が適切であれば超えられないことはないと思います。

予備試験2次 論文式の配点・合格点

短答式を突破した受験生が2次の論文式試験へ進みます。7月に2日かけて実施(令和5年度より9月実施)。

論文試験の概要

予備試験の論文試験は、問題文があり、そこに設問が設定されていて、それに論述式で解答するという形の問題です。設問は1つの場合もあれば3つぐらいある場合もあります。

論述式解答というとどんなものを想像されるかわかりませんが、それなりに「論文」で解答しなければなりません。解答用紙があり、それはA4サイズで4枚ほどあります。設問にもよりましょうが、1500~2000字程度の論述が必要になろうかと思います。

論文試験の配点

憲法 / 民法 / 刑法 / 商法 / 民事訴訟法 / 刑事訴訟法 / 行政法 / 実務基礎(民事 / 刑事)/ 一般教養の10科目。各50点配点で500点満点です。

一般教養の廃止

上の方でも書いていますが、2022年度より論文試験の科目「一般教養」が廃止され代わりに「選択科目」になります。2021年度までは現行制度で実施されますのでご留意ください。

論文試験の合格点

合否の判定ラインは10科目500点中240点程度と言われています。半分にも満たない得点でも合格できるということで、そういう意味では行けそうかなとも思えなくもありません(それだけ難易度が高いとも言えますが…)。

そして、例年受験者の20%程度が合格していきます。ちなみに平成29年度論文式試験の合格率は21.5%でした。下、直近5年間の論文試験合格点推移です。

年度 満点 合格点
平成30年度 500点 240点以上
令和元年度 500点 230点以上
令和2年度 500点 230点以上
令和3年度 500点 240点以上
令和4年度 500点 255点以上

論文試験突破のポイント

既にお話している通り、論文は半分以下の採点でも突破の可能性は高いです。つまり、大きな減点がなければ合格答案に近づくことを意味します。しっかり、基本的な知識・論点は論述できるようにしておくことが大事です。

また、出題科目に穴は作らないことです。1科目でもド苦手な科目があればそれが足を引っ張ることになりますから、お荷物科目を作らないようまんべんなく勉強してください。

旧司法試験と比べての印象

論文式は過去問眺めただけだと難易度は正確な判断はできかねますが、とにかく問題文が長い印象です。より実務に沿った形で出題されるということなのでしょうか。

私は旧司法試験ここで落ちているので偉そうなことは言えませんけど、論文は書けなきゃお話になりません。本試験現場で解答できるようになるには、書式やひな形などを踏まえた上での「引き出し」を持っていること、そして、それを使いこなせるように書いて書いて書きまくるという準備が大事なのだと思います。

書いて書いて書きまくることは独学でもできるでしょうが、その基となる「引き出し」についてはそれ相応の対策が必須です。正しい対策でなければ論文攻略はままならないと思います(参照:予備試験の論文対策とは)。

司法試験のマークシート

予備試験3次(最終) 口述の配点・合格点

はい、ここまで来たらあと一息。3次試験かつ最終試験である口述試験です。実施は10月下旬(令和5年度より翌年1月)。

口述試験の概要

口述試験とは文字通り、「述べる」試験です。試験官より口頭で質問されます。その質問について口頭で解答するスタイル。ただ単に一つ問題を出されて一つ解答するものではありません。会話形式と言いますか、やり取りがあります。当然、突っ込まれることもありますから、そこで焦らず返していくことが重要です。

口述試験の配点

出題は民事実務(民法・民事訴訟法)と刑事実務(刑法・刑事訴訟法)。採点は60点を基準とした加減方式と言われています。ここまでくる受験生は総じて優秀であり大きな加減はないようです。基準点を中心としたプラスマイナス3点程度に収まる場合がほとんどです。

口述試験の合格点

先ほども言いましたが、良くも悪くも突出する受験生はほとんどいなく9割程度が最終合格していきます。もっとも、全員が受かるわけではないことには注意しましょう。過信は禁物です。論文合格発表から口述まではそう時間が残されているわけではありませんからね。

まとめ

以上、予備試験の各試験の科目とその配点についてお話させていただきました。基本的に、各試験出題科目は共通しており出題形式が異なるということになります。

問題の出され方が異なりますので、各科目、知識の「広さ」よりも「深さ」が必要ですし、極端な苦手科目は作らずに得意科目を作ることが大事だと思います。

もう一点、合格者に感想を聞くと、最も難しかったのは論文と答える方がほとんどですが、口述もなかなかのものと解答した方も結構いたようです。論文、口述の対策は独学では不可能に近いものがありますので、予備試験、その先の司法試験合格を目指すのであれば、予備校の講座や模試を利用して対策を立てることをおすすめします。

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