予備試験と法科大学院どっちがいいか

伊藤塾とアガルートアカデミー。いずれもLECの人気司法試験講師が独立して立ち上げた難関法律資格予備校です。その中でも司法試験予備試験講座は人気を二分しているので、この2校を比較してどっちにしようか迷っている方は少なくないでしょう。

そういう方の助けになればと思い、伊藤塾とアガルートの司法試験予備試験講座を直接比較してみたいと思います。その上で、元司法試験受験生のジャッジも示しておきたいと思います。

  • 伊藤塾:「司法試験入門講座」
  • アガルート:「予備試験1年合格カリキュラム」

両校の基幹講座といっていい2つを比較していきます。あくまで個人的意見になりますが、選択の参考になる部分もきっとあると思いますので、興味ある方はどうぞお付き合いください。

伊藤塾とアガルートの比較その1:費用

まずはそれぞれの講座費用について比較してみたいと思います。講座料金はそれぞれ以下の価格帯になります。

  • 伊藤塾:1,148,000円~1,364,900円(税込 伊藤塾長クラスの場合)
  • アガルート:714,560円~1,865,710円(税込)

伊藤塾は通信・通学がありますがアガルートは通信コースのみです。いずれもベーシックのコースがあり、そこに有償オプションの選択如何で価格が変わってくるということになります。コースは以下の通りです。

伊藤塾 アガルート
ベーシックコース 【本科生】

  • 通信:1,148,000円
  • 通学:1,188,000円
【オプションなし】

  • 通信:714,560円
オプションナルコース 【リーガルトレーニング付】

  • 通信:1,324,900円
  • 通学:1,364,900円
【マネージメントオプション付】

  • 通信:1,384,460円
  • ラウンジ:1,865,710円

伊藤塾は「本科生」というベーシックコースがあり、「リーガルトレーニング」というオプショナルコースがあるという構成です。アガルートは「オプションなし」というベーシックがあり、必要に応じて「マネージメントオプション」を選択することができます。

ベーシックコースの比較

ベーシックコースで比較してみます。

伊藤塾は1,148,000円(通信 税込)、アガルートは714,560円(税込)というように、アガルートの方が圧倒的な低価格になります。アガルートのこの価格は、業界の中でも最安ではないにしても低価格講座として知られています。しかも、その内容はかなり充実しており、予備試験合格を目指す講座としてほぼ完結できるような内容となっていると思います。

伊藤塾ですが、アガルートと比べてしまうと誰の目にも高額に映るでしょう。やはり、通学講座があるので費用はかさむのは仕方がないところです。大手予備校になれば、通学講座を展開しているので、ベーシック講座といえどオーバー100万円になってしまいます。よって、ベーシック講座で言えば、アガルートの圧倒的優位は揺るぎません。

オプショナルコースの比較

次は、オプショナルコースで比較します。オプショナルコースは司法試験合格最大のキモとなる論文試験対策の強化プログラムといえますが、両校ともオプショナルコースは名物コースといえ、少なくとも半数の受講生が選択しているといわれています。

伊藤塾の「リーガルトレーニング」は約18万円、アガルートの「マネージメントオプション」は約67万円~もの追加料金が必要になります。こうなるとアガルートはがぜん高額講座になり、マネオプラウンジだと180万円超と、業界一高額の講座になっています。

目的は同じでも内容が異なる(次のカリキュラム比較で言及します)のでガチ比較は難しいですが、絶対価格では伊藤塾とアガルートで完全に同価格帯(マネオプ通信の場合)

ですので、この費用の部分は次のカリキュラムの内容とパラレルに考えていくべきものと思います。

伊藤塾とアガルートの比較その2:カリキュラム

次はカリキュラム。どんなプログラムで実力を身に付けていくか?ということもそうですが、上の費用とパラレルに見て内容とのバランス、つまりコスパも計ることができます。両校対象講座の中身を確認してみたいと思います。表にしてみました。

伊藤塾 アガルート
インプット
  • 体系マスター
  • 基礎マスター(全科目)
  • 総合講義300
  • 論証集の「使い方」
  • 法律実務基礎科目対策講座
  • 一般教養科目対策講座
  • 選択科目対策講座
論文対策(講座)
  • 論文マスター
  • 論文答案の「書き方」
  • 重要問題習得講座
  • 予備試験 論文過去問解析講座
  • 旧司法試験 論文過去問解析講座
論文対策(演習・添削) リーガルトレーニング

  • 添削計91回
  • 予備試験答練
  • 全体通して100通のオンライン添削
短答対策 別途
  • 短答知識完成講座Ⅰ
  • 短答知識完成講座Ⅱ
  • 司法試験・予備試験短答過去問解析講座
オプション リーガルトレーニング基礎編・実践編

  • 基礎マス短答まとめテスト
  • 基礎マス論文答練添削付
  • 基礎論文書き方ゼミ
  • 論マス答練
マネージメントオプション(通信orラウンジ)

  • 毎週60分に及ぶ個別指導×70回
  • 毎回1~2通の斗南店あsく指導で最大150通(TTL250通)
  • 約850時間の講義の進め方を講師が毎週個別に徹底管理
公開模試 別途 別途

伊藤塾は「リーガルトレーニング」選択がマスト

伊藤塾は体系マスター→基礎マスター→論文マスターというお馴染みの流れでカリキュラムが進んでいきます。それぞれは講義ですのでインプット中心で進んでいくことになります。

注意が必要なのは、講座に含まれる答練等のアウトプットは「リーガルトレーニング」を選択しないとないということ。添削も同様なので、伊藤塾を選ぶのなら「リーガルトレーニング」はマストと考えます。

また、短答対策は基本的に付いていませんので、必要と考えるのなら別途講座取得する必要はあります。以前は付いていた公開模試も同様。ご覧のように、基礎マス論マス等、ハイレベル講義はありますが、コスパはあまりよくないという評価をせざるを得ません。

アガルートのハイコスパが際立つ

講座構成をご覧いただければお分かりになると思いますが、70万円強のプライスでこの充実度はなかなかのものです。どの単科講座がどういった内容のものかは公式ページご確認いただければと思いますが、論文添削100通に旧司法試験過去問、答練に短答対策など、無いものは公開模試ぐらい。

通信専門講座の強みといえばそれまでかもしれませんが、それよりも個人的にはこれはガチの講座だなという印象ですね。

マネオプなしでもOK?それともマスト?

「アガルート司法試験といえばマネオプ」という方も結構いらっしゃると思いますが、実際、マネオプはマストで選択するべきなのでしょうか。

予算的に可能ならそうするべきだと思いますが、マネオプなしでもOKと考えます。既述のように、マネオプは最低でもプラス70万円弱もの費用が必要です。オプなしのほぼ倍ですよね。内容鑑みればこのくらいは許容範囲だと思いますが、さすがに考えてしまいます。オプなしでもかなりの充実内容ですので、予算に合わせて選択するのが良いでしょう。

ちなみに、マネオプは早い者勝ちというほどすぐに埋まってしまう傾向があり、実際2023年度版はリリース後すぐに埋まってしまいました。2024年度版は2022年7月リリース予定とのことなので、マネオプ検討の方はしっかりチェックっしておいてください。

伊藤塾とアガルートとの比較その3:講義デバイス

ここでは、講義の内容ではなく受講デバイスの使い勝手等で比較してみたいと思います。下、講義機能の一覧表になりますが、伊藤塾とアガルートは、ウリが異なるので比較はしやすいのかなと思います。

伊藤塾 アガルート
講義デバイス オンラインライブ配信、東京通学 オンライン映像、音声DL
構成 1コマ60分×3で1回 1チャプター10~20分
倍速機能 2段階 8段階
webテキスト同時表示 ×
その他講義受講機能
  • 付箋機能
  • 前回の続き再生
  • 直近受講履歴表示
  • トピックス機能
  • 参考URL・テキスト・レジュメ

伊藤塾は通信でもライブ配信

伊藤塾の講義の大きな特徴として、通信コースを選んでもオンラインライブ講義が受講できる点を挙げることができます。以前はライブ講義を録画したものを後日オンライン配信していたのですが、ご時世柄、全体的に仕様を変更した際に通信でもオンライン配信を可能にしています。

もちろん都合でライブ講義受講できない人は見逃し配信で受講できますが、この試みは伊藤塾のみで、通学できない方でライブにこだわる方には大きな選択動機になります。

ただ、講義デバイスとしての機能はまだ改善の余地はありそうです。講義構成は大学の講義のように1コマ1時間ですので、観たい部分を素早く呼び出すことはできません。一部トピックス表示はあるようですが、どこまで使えるかは未知数です。付箋機能である程度補うことは可能と思われますが…

伊藤塾のweb講義イメージ画像

アガルートは通信受講生に優しい

アガルートは、伊藤塾に比べると機能的には劣る部分もあるかもしれませんが、全体的に見て通信受講生に優しいデバイス機能を持っていると思います。

音声ファイルが付いていますので、デバイスにDLしてオフラインで再生できます。この間は通信料は掛かりませんので学習用途によって使い分けができます。また、講義は時間割りではなく単元割ですので復習の際に必要箇所を検索しやすく、すき間時間でも学習しやすいように短時間にまとめられています。

アガルートPC講義画面

伊藤塾とアガルートの比較その4:講師

予備試験の講師

どの予備校にどの先生が在籍しているかは、少なくとも司法試験受験業界では大事な要素です。

実績や口コミによって講師の「格」というものが形成されていくシビアな世界ですが、そういった荒波にもまれてきた人気講師がいる予備校を選びたいというのが人情でしょう。伊藤塾とアガルートに在籍している講師を比較してみましょう。各2人だけ挙げておきます。

伊藤塾 アガルート
人気講師1 伊藤真:伊藤塾塾長であり、司法試験講師の最高峰と言ってよい方。この方が編み出した指導メソッドは、受験指導において革命をもたらした。今でも現役で明確な語り口は健在。 工藤北斗:元LECの人気講師で現アガルート社長兼筆頭講師。教材づくりは天才的でアガルート人気のの理由の一つである。ハイレベルな講義は定評あり。
人気講師2 呉明植:20代の頃からカリスマ講師と言われた現役No.1講師(管理人私見)。伊藤塾では塾長と双璧をなし、自分のクラスを持っている。 谷山政司:知名度はそれほどでもないが、確実な支持を得ている。テンポが非常によく、耳に入ってきやすい。論文作成講義は得意中の得意分野。

伊藤塾はカリスマ講師揃い

塾長を筆頭に、最も多くの人気講師を抱える予備校であり、伊藤塾のトピックの一つでもあります。伊藤塾の実績も、講師による部分が非常に大きく、No.1予備校に押し上げた原動力でしょう。

2トップは塾長と呉講師ですが、他にも本田講師や伊関講師等、人気の高い講師を抱えています。塾長と呉講師はそれぞれ別のクラスで教鞭を執っており、どちらか一方のクラスを選ぶ必要があります。

それぞれの講師は管理人も直接教わっていますが、指導スタイル含めてこちらでちょっと触れています。興味あればどうぞ。:「伊藤塾司法試験入門講座はどう?費用や講師・論マス基礎マスを深掘り!」

伊藤真講師呉明植講師

アガルートは名よりも実

アガルートは伊藤塾ほどの人気講師を抱えているわけではありません。その点伊藤塾はNo.1ですのでどうしてもそういう評価になります。社長の工藤講師はインプット講義その他を担当されていますが、いわゆる人気講師というのは工藤講師ぐらいだと思います。

しかし、他の講師陣も超有名というわけではありませんが、実力は確かでそれなりの人気は博しています。ここに紹介している谷山講師や渥美講師等が人気オプションマネオプを支えています。「名」よりも「実」を追求するスタイルのアガルートです。

アガルートの講師陣

伊藤塾とアガルートの比較その5:テキスト

テキストは法律知識、リーガルマインドを養成する上で欠かせない教材アイテムと言えます。勉強を進めていく上で自分で作っていくという側面もあるので、細かい知識を追えるというよりも使い勝手が良いという点が重視されるべきと考えます。

伊藤塾 アガルート
デバイス 冊子 冊子、web
刷り 白黒 カラー

伊藤塾はちょっと見づらいか

伊藤塾のテキストは、冊子、というよりバインダー綴じのモノトーン刷りテキストになります。webには対応していませんが、ページはバインダーから外すことができるので、その意味では携帯性は良いという見方も可能です。

既述は結構びっしりされている傾向があり、情報量は多いかもしれません。が、モノトーン刷りという点もあるかもしれませんがちょっとごっちゃりしていてお世辞にも見やすいテキストとは言えないという印象はあります。

伊藤塾の方針もあってテキストの書き込みも指示されることが多く、心して書き込まないとさらにごちゃつくかもしれません。カラー刷りするなり記述1割ぐらい落とすなりして見やすくする工夫の余地はあると思います。

伊藤塾司法試験対策講座オリジナルテキストスクリーンショット

アガルートのテキストは一つの理想形

サンプルご覧のように、適度にカラー刷りされていてかつ記述もシンプルで必要十分です。見やすいと思いませんか?長尺文章よりもこの方が絶対使いやすいと思います。

インプットは講義中心なのであって、テキストって復習で使いやすいか否かが勝負なのですから。シンプル記述でも問題ないはずです。個人的意見になりますが、アガルートのテキストは一つの理想形だと思います。さすが工藤講師が制作したテキストです。

アガルートテキスト

伊藤塾とアガルートの比較その6:サポート体制

講義中

初学者であったり通信受講生であったり、勉強を継続していくにあたって気持ちが内に内に行きがちな立場の方は、不安を覚えがちになります。どうしたって支えてあげることが必要になると思いますが、予備校のサポート体制がどうなっているのか、気になる方も少なくないでしょう。

伊藤塾とアガルート、どんなサポート体制を敷いているのか比較してみたいと思います。学習内容におけるサポートと、受講生自身に対するケアでまとめてみましたs。

伊藤塾 アガルート
学習サポート
  • マイページ画面からの質問制度
  • スケジューリングによる学習進捗管理(申請者のみ)
  • Facebookグループ質問
  • マネージメントオプション(有料)
受講生ケア
  • クラスマネージャー制度
  • 電話やZoomでの講師・合格者カウンセリング(要予約)
  • 受講生・合格者との交流会
  • 社会人交流会
  • ホームルーム月1配信
  • 月1カウンセリング(30分)

伊藤塾は人的交流に力を入れている

大手予備校だけあって、サポート体制は非常に充実しています。伊藤塾の通信受講はクラスマネージャー制度を強いています。これは、講師とは別に事務一般をつかさどるクラスマネージャーが付き、受講生のサポートをしてくれます。

伊藤塾の受講生サポートは人的交流に重きを置いているのが特徴であり、こういうことしてるのは私の知る限りでは伊藤塾だけだと思います。長い受験生期間は気持ちが内に行きがちで孤独感に苛まれます。そこに講師や同じ立場の受講生、合格者というそして先人たちと交流して悩み解消や刺激によるモチベーション維持を図ってもらおうというもの。

こういった試みは受験生を経験した管理人から見ると魅力的な体制を敷いているなと思います。

伊藤塾塾長

アガルートのサポートは多くのユーザーが認める

通信専門予備校はコストの関係もありサポート体制が薄い傾向があるのが常ですが、アガルートは例外になります。アガルートは2021年にコンシューマリサーチによる3冠を達成していますが、その中の一つがサポート体制でした。

そんなアガルートですが、オプなしでも個別の月1カウンセリングが受けられます。そして有料ですが、強力な学習サポートである「マネージメントオプション」も存在。

オンラインホームルーム

伊藤塾とアガルートの比較その7:合格実績

合格実績を気にしないという方はほぼ存在しないと思われますが、その数字をそのまま受け入れるべきではありません(司法試験予備校の合格率実績-正しい見方と合格者の声の活用法)。しかし、一つの参考にはなるので、合格実績が良い予備校に人が集まるのは必然です。

伊藤塾 アガルート
直近年度実績
  • 令和3年度司法試験合格者1421名のうち伊藤塾有料講座受講生は1137名、80%が伊藤塾出身。
  • 令和3年度司法試験合格者のうち予備試験ルートの88.8%(332名)が伊藤塾有料講座受講生
  • 働きながら予備試験最終合格した者65名のうち伊藤塾有料講座受講者は57名、占有率87.7%。
  • 令和3年度司法試験合格者1421名のうち、アガルート受講生は669名。占有率は47.8
  • 2020年度予備試験の合格率4.16%に対し、マネージメントオプション利用者の合格率20.29%。

現在、積極的に合格実績を発表している予備校は少数派ですが、この2校は少数派に当てはまります。特に伊藤塾は割と細かく公表しており、データとしても参考になって予備校選びの方にとってはうれしいですね。

この点は、やはり伊藤塾の方が多くの合格者を輩出しているようです。「合格者実績」データの集計方法上、公開模試を実施している予備校が良くなるのは自然ですから。もちろん、伊藤塾をディスっているわけではなく、この2校は業界でも2トップと推測します。

総括・まとめ

以上、伊藤塾とアガルートを項目ごとにガチ比較してみました。ご覧のように、私の意見ではアガルートの方が多くの項目で優位性を示した形になりました。まあこれは「司法試験予備試験予備校を徹底比較!」でも示されている通りなのですが、後発者の強みもあるのでしょう。

結果が示す通り、アガルートは現在司法試験予備校でもっとも人気を集める予備校と思われます。もっとも、伊藤塾にも伊藤塾の独自性・強みはありますし、少しづつ確実に変わっています。私の意見はこうですが、どちらを選ぶかはあなた次第です。

伊藤塾とアガルート、個別評価もしていますので、よろしければ参考にしてみてください。