高卒で弁護士になるには?そのルートと最短期間をお話します

弁護士資格を取りたくて、これから司法試験合格を目指す・・なんてことを考えたその時、人によってはこんな考えが頭によぎるかもしれません。

「あっ!オレ高卒だったわ…弁護士になるのかな…」 「司法試験合格目指したいけど、私学歴ないからな…ムリかな…」

つまり、自分は大学出ていないから弁護士になんてなれないんじゃないか?という懸念。 せっかくですからこの際にハッキリさせておきましょう。

高卒でも弁護士になれるのかを。なれるとしたら高卒から弁護士になるまでの最短のルートとその期間をお話します。<

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高卒でも弁護士になれます

弁護士バッヂ まずは高卒で弁護士になれるかの可否ですが、結論から言いますと、高卒でも弁護士になれます。 高卒で弁護士になりたい方、安心してください。今、あなたの夢がかなえられるチャンスです。高卒でも弁護士は目指せます。

中卒でも弁護士になれるか

だったら、中卒ではどうなのか?答えはYes、中卒でも弁護士になれます。 弁護士になるには、司法試験に合格しなければなりませんが、司法試験の受験資格要件には学歴制限はありません

つまり、高卒だろうが中卒だろうが司法試験には受験できます。 受験さえできれば、それこそ実力の世界です。大卒だろうが高卒だろうが中卒だろうが、実力がある者が合格するのです。

高卒が辿るべきルートとは

司法試験合格へ駆けあがる道 高卒でも弁護士になれることはお分かりいただけたと思いますが、高卒者が弁護士になるには若干選択肢が限定されます。

弁護士になるための一般的なルートを踏まえつつ、その中で高卒が辿るべきルートを解説していきます。中卒の方も同じルートで目指していただければと思います。

先ほど司法試験受験には学歴制限はないとお話しましたが、受験資格要件は存在します。司法試験受験資格を得るには2通りあります。

それは法科大学院課程修了予備試験合格です。→ 司法試験はどんな内容の試験?受験資格や日程などをわかりやすく解説

高卒は予備試験ルートで司法試験目指す

高卒の方は予備試験合格ルートから司法試験合格を目指していただきたいと思います。というより、法科大学院ルートは高卒者はほぼ無理なのです。 法科大学院は、受験資格に「大学卒業及び卒業見込の者」とあるのです。→ 予備試験と法科大学院を比較してみた。どっちのルートが良い?

予備試験は、司法試験よりさらに資格制限がありません。学歴はもちろん、年齢・国籍も問われません。→ 予備試験とはどんな試験?最新日程や受験料・属性別合格率推移を紹介!

つまり、高卒者(中卒者も)が弁護士になるために司法試験の合格を目指すのなら、この予備試験合格ルートを選択することができます。 下、表でまとめてみました。

学歴 予備試験 法科大学院
大卒(見込者含)
高卒・中卒 ×(例外あり)

 

司法試験合格後は司法研修所入所

見事予備試験に合格し、その先の司法試験にも合格したとしましょう。司法試験に合格してしまえばすぐに弁護士に…とはなりません。

合格後、国家機関である「司法研修所」というところで1年間の研修が待っています。そして研修の終わりに、「二回試験」と呼ばれる卒業試験みたいなものがありますので、それに合格すれば研修も終わり社会に出ていきます。

弁護士も職業ですから就職活動がありますので、司法修習期間中あるいは卒所後に就活することになると思います。繰り返しますが、司法試験受験から司法研修所卒所まではみんな一緒です。違うのは司法試験受験ルートだけです。

高卒が最短で弁護士になるまでの期間とは

高卒者が辿るべきルートをざっとですが辿ってみました。では、この辿ってきたルート、最短ではどのくらいで弁護士になれるのでしょうか。予備試験受験・合格から司法研修所卒所までの期間を時系列で検証してみましょう。

  1. 予備試験受験・合格
  2. 司法試験受験・合格
  3. 司法研修所期間

予備試験受験・合格

予備試験は例年7月に開始されます。1次から3次まであり3次が最終試験です。 7月中旬に1次(短答式)、9月に2日かけて2次(論文式)、そして翌年1月に口述試験です。合格発表は1月末~2月ですから、約半年ということになります。

司法試験受験・合格

予備試験合格者は翌年7月に実施される司法試験に臨むことになります。 司法試験は例年7月に4日ほどかけて論文試験と短答試験が実施されます。

ちなみにですが、司法試験は超難関試験ですが、予備試験合格者の方が法科大学院修了者よりも合格率ははるかに高いです。 合格発表は例年11月。

令和2年度予備試験の高卒合格者

参考までに、令和2年度の予備試験では、20歳未満の合格者が3名も出ています。年齢から考えても学歴で言えば高卒者に当たりますが、これまで19歳以下の合格者などほとんどおらず、いても年に1人程度でした。

このページでお話していることはあくまで可能性の話の面が強かったのですが、もしかしたら、今後は現実的な話になってくるかもしれません。

司法修習期間

晴れて司法試験に合格した者は、例年12月ごろに開所される司法修習に臨みます。

ここから約1年間、弁護士のみならず検察官や裁判官の実地研修もあり、とても意義深い時間を過ごせるそうです。 そして翌ねんの11がつごろに「二回試験」があり、合格すれば研修修了。

期間は約2年7か月

新人弁護士 予備試験受験から司法試験合格を経て司法修習修了までは約2年7か月間ということになります。

もちろん、予備試験受験までは予備試験さらにはその先の司法試験の勉強期間がありますので、実質はもっともっと長い期間が必要になりますが、ここは個人差がありますので詳細は割愛させていただきました。 高卒の方であれば、

18歳で高校卒業して数か月後の予備試験を受験し一発合格してしまえば、その翌年の司法試験受験が可能です。この時19歳か20歳。そして、そこにも合格して司法修習を経れば21歳か22歳で弁護士になれます。

独学だとどのくらいか

高卒者が予備校を使わず独学で勉強した場合はどうなのでしょうか。すでに述べていますが、高卒が弁護士になれる云々の話は、あくまで受験資格のお話であって、その人の適性や実力は別の話です。

ですから、「高卒で独学」という括りではなく「独学で」ということでお話を進めさせていただきます。 最短が2年7か月という結論が出ましたが、それは予備試験受験からの計算です。つまり、予備試験前の勉強時間は計算に入っていません。 独学or予備校の議論は受験勉強時間の短縮の話ですから、独学の方が当然時間は掛かります

予備校を利用することによる時間短縮は、一般的に半分~3分の1程度と思われます。 ですから、独学で臨んだ場合は予備校利用組よりも2倍~3倍の勉強時間で予備試験に臨むことを想定するといいでしょう。

予備試験合格までの期間は予備校を利用して2年~4年程度が多いように思います。ということは、独学では予備試験合格までに4年~12年くらいの勉強期間が必要で、そこから+2年7か月が最短期間と考えるといいかもしれません。

要は、予備試験に合格でき得る実力をつけるまでにどのくらいの期間を要すかが短期合格のカギになってくるのです。

高卒弁護士でも活躍できる?

エリート弁護士 当たり前ですが、弁護士など実力の世界で、それは学歴など関係ありません。弁護士としての力量の世界です。数は少ないですが、世の中には高卒の弁護士だって活躍しています。

司法修習後の就職ですが、場合によっては高卒という学歴がネックになって大きな法律事務所に採ってもらえない可能性もあります。

しかし、弁護士となった以上、それが目標ではないはず。弁護士なりたてなんて、どっちにしたってぺいぺいです。絶対的な経験がありません。

だったら、経験積んでそれから自分で事務所を構えればいい。実力が認められて大法律事務所に引き抜かれる可能性だってありますしね。 要は自分次第ということです。

法律事務所以外の道もある

弁護士資格を取った者の強みですが、なにも法律事務所での勤務がすべてではありません。他の士業よりも幅広い活躍が可能です。

例えば、企業に就職して企業法務を担うことも可能ですし、ちょっと裏技ですが、司法試験予備校の講師として活躍することも可能です。

人気講師となれば、収入もかなりのものになりますので、それはそれで夢のある話だと思います。 ちなみに弁護士ではありませんが、現在も某司法試験予備校で教鞭を執っている有名講師の中には、高卒で社会人から旧司法試験合格されている方もいますよ。お若い頃は仕事しながら勉強したのですね。

法律上弁護士になれない場合とは

えっ?弁護士になれない? 無事司法試験に合格して司法修習が終われば弁護士に…実は弁護士には欠格事由というものがあって、法律上弁護士資格が得られない事由が法律(弁護士法)で決められているのです。法律によって、特定の職業に就けないということはよくありますが、弁護士もあるのですね。

いくつかありますが、まずは「禁固刑以上の刑に処せられた者」。犯罪歴すべてが欠格事由というわけではなく、それなりに重い罪で処せられたものに限ります。ですから、執行猶予が付けば問題ありません。

また、「成年被後見人又は被保佐人」も欠格事由です。もう一つ挙げておきたいのが、「破産者であって復権を得ない者」。自己破産すると生活上でいくつかの制限が課せられますが、その制限が解除されたことを復権と言います。

復権には手続きを取らないと駄目なものもありますので、それをせずに放っておいたものは弁護士にはなれません。

まとめ

ご覧のように、弁護士になる過程において、ほとんどの段階で年齢・学歴関係系なく弁護士になれます。法科大学院ルートだと学歴制限に引っかかりますが、予備試験ルートで目指せば学歴も年齢も制限なく弁護士を目指せます。

ちなみに、費用についてですが、高卒云々には限定していませんが、社会人が弁護士になるまでにはというテーマでかかる費用について記事を書いています。こちらの方を参考にしていただければと思います。

→「弁護士になるには費用はどのくらい?いち社会人が司法試験合格 司法修習修了まで

司法試験に合格しても、一部弁護士資格を得られない場合がありますが、ほとんどの方は問題なく、心おきなく弁護士を目指してください!